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LFA工房: とどまり続ける感銘

Lasting Impressions

LFAを、レクサスファミリーの一員と位置付けるのは難しいと思う人がいるかもしれません。確かに、最高速度325km/hをたたき出し、静止からわずか3.7秒で100km/hに達するというだけでも、この超高級スーパーカーは、独特な世界の頂点にただ一人立っていると言えるでしょう。わずか500台しか存在しないという点もそう感じる理由の一つです。しかし、必ずしもそうとは限りません。我々が2011年2月に元町工場で過ごした3日間の経験により、このクルマが多くの重要な面において純然たるレクサスであることがはっきりとわかったからです。

LFA工房は、名古屋から車で1時間の場所にあります。ここでは、選ばれし匠たちにより、1分1台の大量生産ではなく、1日に1台のLFAが製造されています。

製造現場に足を踏み入れると、その雰囲気が、即座に感性を刺激してきます。飛行機の格納庫のような広さ、薄いターコイズブルーと工業的なオレンジ色のゴムフローリング、掲げてあるビルボードサイズの看板に、目が回りそうになります。

塗料と溶剤の刺激的なオートショップの匂い、涼しい空気の流れ、白いネオン、黄色く塗られた装置、スタッフが暖をとるスポットなどが点在しています。ヒーターとエアコンが、低く規則的な音を刻み、これが、何かが激しく回る音、高圧のエアが吹き出す音、トルクレンチの散発的な金属音などで断ち切られます。LFAがここで作られています。ここでは、繊細なカーボン繊維シートから強度を増した完成部品まで、全ての製造工程を目の当たりにできるのです。魅惑的な光景です。ノイズもそれと同じように興味深いものです。どこからともなく、V10エンジンの一つが、大きな音を立て始めたと思うと、瞬時にそれが、深く動物のうなり声のような音に変わります。それを、靴底を通じて感じることができるのです。そして、検査員がスロットルを開くと、エンジンの響きが高まります。まるでニュルブルクリンクのピットにいるような錯覚に陥ります。

175 Lexus workers were handpicked for LFA Works assignments.

訪問者にとっては、魅力的な光景です。しかし、ここで働く人達にとっては日常そのものであり、慣れ親しんだ光景なのです。実際、ここは極めて穏やかな場所です。工房を歩いてみると、4人以上になることは稀な小さなグループが、それぞれの任務に集中している様子が目に映ります。例えば、滑らかな曲面の型の上に置かれた薄いカーボンシートを加熱し、積層している人達、カーボンファイバーを硬化させる巨大なオーブンの蓋を静かに閉めるグリーンのボタンを押す人達などです。もし4人以上のグループを見かけることがあれば、恐らく、ボディシェルをテスト装置に搭載する時に、カーボンにつく傷をいかに回避するかといったような課題について熟考している集団かもしれません。最も重要なこと、それは、決してカーボンを傷つけないことです。そしてここでは、ほぼ全員が微笑んでいるように見えるのです。たとえそうでない人でさえ、満ち足りたようなオーラを放っているのです。

LFA工房の体制づくりには2年の歳月を要したそうですが、すべてにおいて、最先端技術と人の手による匠の技を融合させた、細心のオペレーションの結果でもあるのです。それぞれの部品、例えばエンジン、駆動系、アルミニウムのフレーム、そしてカーボンファイバー素材を含む、1万点を超える部品が各仕入先から届きます。最初の工程の一つが、カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)ボディの各部位を一つ一つ完成させていくことになります。温度と湿度が管理されたコントロールルームで、信じられないほど強力でありながら軽量のアッシーが、3つの方法によって作られていきます。その3つの手法とは、ダッシュボードやサイドメンバーを作り出すプリプレグ工法、フロア全体を作り出すRTM(resin transfer molding)工法、そしてより複雑なカーボンコンポーネントを作るC-SMC(Carbon-Sheet Molding Compound)です。

175 Lexus workers were handpicked for LFA Works assignments.

Lexus Automotive Editor Doug Knox chats with the LFA team.

Lexus Automotive Editor Doug Knox chats with the LFA team.

中でもプリプレグ工法が、特に私の関心をひきました。まずは、手作業による「レイアップ」という工程です。匠がこれを習得するには6ヶ月の歳月が費やされます。プリプレグのシートがヒートガンで加熱され、白い手袋をはめた指で貼り付けられていきます。そして気泡が入らない、しっかりした接着を施すために、真空引きが行われます。この工程は少なくとも13回繰り返されます。もう一つは、工学上のブレイクスルーといわれるボーイング787型機ドリームライナーの製造に使われたのと同じ技術を共有している工程です。これは、約8時間、最高摂氏150度で、カーボンファイバー内の樹脂を硬化する巨大な設備「オートクレーブ」を使用します。これらすべてが、スーパーカーに要求される最高のハンドリングを実現する剛性ボディを追い求めている結果なのです。

ボディシェルが完成したら、接着準備のために、水と研磨剤の混合物で接着する面を粗くする処理を行い、その後、部分的にロボットが接着剤を塗布します。そして、各部位が接着され、ボディとして仕上げられていくのです。次の工程は、宮田義直が説明する全体的な剛性のテストです。

An LFA reaches the end of the production line. Meticulous checks are made every step of the way.

私がLFA工房を訪問したときには、ちょうど75台目のボディが完成したところでした。私は、LFA工房のプロジェクトマネージャー立会いのもと、ほぼ全ての工程に立ち会うことが出来たのです。さらに、天野信昭と共に元町のテストコースでの同乗もできました。時速200kmへの加速で、私は血の気がひいたような感覚になり、9000rpmのエンジン音とシンクロする排気音、そしてうなりの全てが率直に言って美しく、後の時代にまで残るであろう瞬間を記憶しました。しかし、天野の横に座っていても、華麗に作り込まれたV10エンジンがベイに下げられるのを見ながらにしても、あるいは、若い匠が、接着線をより「美しく」するために、特注のへらで削るのを見ながらにしても、常に1つ確かなことがあります。

それは、ここLFA工房は、歴史を作る人々の集団であるという事です。彼らは、レクサスが象徴するものの典型を行っているのです。「先駆的な技術と先駆的な手作りの職人技の融合を通じて、贅沢なドライバー中心の車を作る」ということです。さらに言えば、LFA工房から学んだことは、未来の「より軽量で、より強く、より効率的なクルマを作ると」いう、優れたレクサスの知識の蓄積に直接つながっていくという点なのです。

最後に工房のトップである山中繁の言葉を紹介します。彼は次の点について強調しました。極めて特別なものを作り上げているLFA工房は、「LFAの父」である伝説的テストドライバー、故 成瀬弘の名声への敬意も示しているのです。

An LFA reaches the end of the production line. Meticulous checks are made every step of the way.

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